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愛羅のマンションの前に車を停め、瀬乃山は助手席の愛羅をじっと見つめる。
それだけで、愛羅の体温は二度ほど上がってしまった気がした。
でも、これはいつもの嫌な熱ではない。
瀬乃山の滾る熱が浸透した、幸福な火照りだ。
瀬乃山が、愛羅の手を取った。
「……分かりました。訊いてみます」
「うん」
「……社長?」
手を離さない瀬乃山に、愛羅が小首を傾げる。
「……帰したくないな」
瀬乃山の骨張った親指が、ゆっくりと愛羅の手の甲を撫でる。
先ほどまでの熱い情事を蘇らせる仕草に、じわりと快感が広がる。
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