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「でも、いいんでしょうか。誰かに見られたりしません?」 愛羅自身のことより、そのほうが心配だった。 会社の人に、見られたりしないだろうか。 休日で、誰がどこにいるか知れない。 「そんなこと気にするな。誰に見られたって構わないだろ?」 「でも」 「いいんだ。大丈夫。悪いことをしているわけじゃないんだから、堂々として」 車を走らせながらそう言う瀬乃山の、横顔を見上げる。 その表情は、いつものように何も見通せなくて、どこまで瀬乃山が本気で言っているのか、愛羅は不安に思う。 その視線を感じたのか、赤信号で車が停車すると、瀬乃山は体ごと愛羅のほうを向いた。 「余計な気を遣わせて、悪い。君がそんなことを気にする必要はないんだ。ただ、社内のことは……役員の傍にいるってだけで、悪く言う奴はどこにでもいるから、それだけが心配なんだ」 曖昧に頷く愛羅に、念を押す。
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