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「社長……」 「1秒だって無駄にしないと言ったろう?」 「そう、ですけど……」 これまでの瀬乃山とあまりに違い過ぎて、戸惑いに心が揺れる。 「じゃあ……また」 腕を緩め、至近距離で見下ろされた。 「はい、ありがとうございました」 送ってくれて、好きだと言ってくれて、愛羅を受け入れてくれて。 様々な想いが過ぎったが、それを言い出したらきりが無い気がして、愛羅は一言に万感を込めた。 微笑んだ愛羅に、瀬乃山が目を細める。 目を細める、という仕草は一緒なのに、そこにいつもの不機嫌さは欠片もなく、柔らかな表情だった。 それに胸を鷲掴みにされながら、額に淡い口づけを受け、それから愛羅はようやく車を降りたのだった。
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