2197人が本棚に入れています
本棚に追加
「遅かったわね。大丈夫だった?」
家に帰ると、麗美に出迎えられた。
もしかしたら心配して、普段より早く帰ってきていたのかもしれない。
大丈夫と答えて、少し考え、後で話すねと言った。
色んなことがありすぎて、頭が混乱している。
とりあえず、気を落ち着かせようと風呂に入った。
裸になると、つい先程まで傍にあった瀬乃山の気配を、より強く感じる。
これまで目にしたことのなかった情熱的な姿が、目に肌に、焼き付いてしまった。
あまりにも突然で、あまりにもこれまでの印象と違い過ぎて、戸惑いを隠せない。
それでも、それ以上に嬉しさや気恥しさが勝って、じりじりと胸を焦がす。
麗美にどうやって話そうか、考えなければならないのに、まとまりそうにない。
戸惑いや焦燥で眉は顰めてしまうのに、昂ぶる気持ちが足元をふわふわと浮かす。
結局、考えも気持ちもまとまらないまま風呂を出ると、麗美はリビングで待っていた。
これ以上待たせるのは気が引けたものの、顔を合わせる勇気が持ちきれず、愛羅は麗美の座るダイニングテーブルではなく、ソファに腰を下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!