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4人は、今まで何度もそうしてきたかのように、和やかな時間を過ごした。 たらふく食べて店を出ると、愛羅は夢の中にいたような気がした。 こんな風に、みんなでわいわいと食事ができる日がまたやって来るなんて、少し前まではどうしても思えなかったというのに、瀬乃山はあっという間に愛羅に、前にいたような景色を、いや、それよりももっと温かくて煌いた世界を見せてくれる。 瀬乃山がタクシーを止めると、花蓮をまず乗せようとした。 「愛羅ちゃん、一緒に乗っていこうよ」 花蓮と愛羅は、自宅が同じ方角だ。 瀬乃山と清香は、一緒に乗っていくには場所が違い過ぎる。 ちらりと瀬乃山を見ると、その視線で引き止めたがっているのが分かった。 トクトクと心臓がその存在を主張し始めるが、花蓮と清香は気付かない様子で、愛羅を急かす。
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