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年末年始休暇のどさくさに紛れて、宮武の退職は、ひっそりと広まった。 宮武が管轄していた管理部のメンバーは、無論突然の退職を知っていたが、全社には告知していなかったため、関わりの少ない社員が気づいたのは、年明けに人事異動があってからだった。 いつの間にか退職していた宮武に代わって、人事課長が正式に管理部長に昇格し、なおかつ元々そのポジションに就いていたはずの宮武の辞令がなかったことから、ようやくその不在を知った者も多かったのだ。 しかし、愛羅にとって、それは大した意味を持っていなかった。 愛羅自身も異動になったからだ。 愛羅にとっては、青天の霹靂であった。 宮武の退職後、書面上は上長となっていた人事課長から呼び出しを受けて、辞令を受け取った愛羅は、放心したまま社長室に戻った。 宮武がいなくなっても、リハビリのつもりで、できるだけ共有スペースで仕事をしているようにしている。 瀬乃山も前と変わらず、あまり社長室にいないので、毎日顔は合わせるものの、その時間は短い。
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