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麗美の心配は尤もだ。 立て続けに職場で被害にあった愛羅が特殊なのであって、普通こんなこと、そうそうあるわけがない。 酷いことをされたし、警察沙汰にはしないでくれと頼んだからなっていないが、それくらいの問題だ。 「でもね、お姉ちゃん」 愛羅はキュッと拳を握り締めると、じっと愛羅を見つめている麗美を見上げた。 「私、もうちょっとあの会社で頑張ってみたいの。ようやく仕事にも、働く場所にも慣れてきたし。助けてくれる人たちもいるから。だから、また逃げ出して、一から始めるんじゃなくて、もう少しここで頑張ってみたい」 愛羅は自分の気持ちを確かめるようにしながら、ゆっくりとそう告げた。 ようやく自分の居場所を掴めるような気がしていた。 その微かな兆しを手放したくなかった。 麗美は、何も言わずに愛羅を見据えている。 「……ダメかな?」 また俯いてしまってから、恐る恐る顔を上げた愛羅に、麗美は軽い溜息をついた。
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