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今日も、わたしは急いで彼の部屋に向かいました。
なぜか胸騒ぎがしたのです。
足取りが重く、とても行きたくなかったのですが、彼との約束だから仕方ありません。
わたしは重い体に鞭をうち、やっとのことで彼の部屋にたどり着きました。
「……?」
扉を開けると、そこに、いつもの彼はいませんでした。
代わりに彼の母と父がいました。
彼のお母さんは、ベッドに倒れこむようにして泣いていました。
彼のお父さんは、ベッドから顔をそむけ呆然と立っていました。
「あの…」
わたしが声をかけると、やっと二人はこちらに気付きました。
「綾子ちゃん、ね?真の彼氏の」
母は真っ赤な瞳を、ハンカチでぬぐいます。
―――――なんで泣いているんですか…?
そんなの、聞かなくてもわかっていました。
―――――――彼は本当に、無口になりました。
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