三日目

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
今日も、わたしは急いで彼の部屋に向かいました。 なぜか胸騒ぎがしたのです。 足取りが重く、とても行きたくなかったのですが、彼との約束だから仕方ありません。 わたしは重い体に鞭をうち、やっとのことで彼の部屋にたどり着きました。 「……?」 扉を開けると、そこに、いつもの彼はいませんでした。 代わりに彼の母と父がいました。 彼のお母さんは、ベッドに倒れこむようにして泣いていました。 彼のお父さんは、ベッドから顔をそむけ呆然と立っていました。 「あの…」 わたしが声をかけると、やっと二人はこちらに気付きました。 「綾子ちゃん、ね?真の彼氏の」 母は真っ赤な瞳を、ハンカチでぬぐいます。 ―――――なんで泣いているんですか…? そんなの、聞かなくてもわかっていました。 ―――――――彼は本当に、無口になりました。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!