限界だということ

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『やる気あるの?』 たったその一言。 その一言で、私の精神は弾けた。 『やる気』? 慣れない職場環境に慣れようと必死に耐えていたじゃないか。 悪口に一切参加せず、すべて聞き流していたじゃないか。 影口を言われていることに気付きながらも、無知なフリして聞こえぬフリをしたじゃないか。 そうやって、自分自身を必死に守り、早く一人前になりたいがために頑張っていた私に対し、その一言はあまりにも非情だと思った。 あぁ、この人は見てないんだ。 私がどんな気持ちで出勤していたのか、この人は知らないんだ。 そのことを悟った瞬間の表情は無表情だったはずだが、心の中では悲鳴を上げていた。 「すみませんでした。」 上司の言葉に謝罪する必要がないのはわかっていたが、今の私にはこの言葉しか言えなかった。 ため息を吐き、離れていく上司の後ろ姿を見ながら、私は思った。 この人とはわかり合えないのだ、と。 人と人の繋がりは一期一会。 つまり、この人との繋がりはここまでだと言われた気がした。 私は知っていた。 ここに入社したこと自体、間違っていたのだということを。 私の疑問、不安がこの短期間ですべて当たってしまったことを私は知っていた。 そう、私自身が最早限界だということを。 End.
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