滅びの時

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合コンが始まり一時間が経過した。 周りはというと、お酒が入ってそれなりの盛り上がりを見せていた。 俺はウーロン茶片手に気配を消して誰にも迷惑を掛けないで過ごそうと必死だった。 『あれ?ウーロン茶ばっかり飽きないの?一杯くらい飲みなよ。』 いる。こういう女子いる。 たいして興味もないのに、米粒程の気配で過ごしている弱者を好奇心からいじろうとしてくる奴。 『何か飲めるでしょ?男なんだから。』 完全に絡み酒だ。 俺はまずいと思って断ろうとしたが、断る前に北野が横やりしてきた。 『ウイスキーロックだな!お前はウイスキーだ!』 全く意味が分からなかった。 俺の何処を見てウイスキーなのか? 完全に断るチャンスを見失った。 『店員さーん。ウイスキーロック!濃いめで。』 何が濃いめだ! ロックに濃いも薄いもあるか! そうこうしていると、目の前にウイスキーが運ばれてきた。 『よっしゃ。じゃあ、今日は男子を代表してウイスキーの一気飲みを見せてくれるそうです。』 耳を疑った。 お酒なんて正月の甘酒以外飲んだ事ないのに、しかもロックで一気? 完全に正気の沙汰じゃない。 『いいじゃん。じゃあ、一気に成功したらほっぺにチュウしてあげる。』 いやいや、そんなんで喜ばないから。 大体チュウなんて一気しても絶対しないだろ! キモイから嫌だとかそういうに決まってるんだ。 『早く飲みなよ!何?照れてんの?やだ、かわいい。顔真っ赤になってる。』 やめてくれ。赤いのは困ってるからだ。 『早く飲めよ!チュウのチャンスだぞ!ほら、頑張れ!男見せろ。』 完全に後に引ける雰囲気じゃなくなった。
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