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『ほら、早く立てよ。』
立ったら最後だ。
俺は手を振りながら必死に断ろうとした。
『しらけさすなよ!いいからやれよ!皆待ってんぞ!』
北野が少し怒り気味に言った。
ふと横目で女の子達を見ると完全にしらけた雰囲気だった。
ま、まずい・・・
このまま断り続けると、完全に俺が悪者になってしまう。
しかも予備校で誰にも関わらないように生きてきたのにイジメにも発展するかもしれない。
俺は勇気を振り絞って渋々立ち上がった。
『おお!来たよ。男見せろよ!イッキ!イッキ!イッキ・・・』
手拍子と共に地獄への門が開かれた。
もう、どうにでもなれ・・・
俺は手に持っていたグラスを一気に空けた。
体中の血液が沸騰するようだ。
頭の天辺まで血液が昇っていく感じがした。
『おお!いっちゃったよ!知らねえぞ俺!』
『かっこいい!あれ?ご馳走さまが聞こえない?』
一人の女が言った瞬間、もう一杯別のお酒を手に持たされた。
『まだまだいけるよ!それイッキ!イッキ!』
この女、完全にとち狂ってる!
目の前の気色がぐるぐる回る中、俺はもう後に引けなかった。
『おお!行った!』
二杯目は焼酎だった。
一気に飲み干した俺の口からは得体の知れない何かが飛び出そうとしていた。
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