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「未来が見たい未来が見たい未来がみらい……どうだ!」
今回も間に合わなかった。
無数の星が舞い降りる夜。そんな夜に一人ブツブツ言いながら手を合わせる僕が居る。
「たくさん星が流れるって言っていたからなー。星でもひとつくらい、俺のこと見てくれる奴がいるだろ。なんてったって俺は日頃の行いが――」
今までしたことを思い浮かべる。
いいことといえば……。
あ、そういえば今日は田中君のプリント運び、手伝ったっけ。
いいことしたなぁ。
悪いことは……。
うん。この話題はちょっとやめよう。
心の中で一人で会話するのは実に悲しい。
中学三年生の卒業式の日に、告白しようと思っていたら友達に先に告白された……。だから僕は、今もこうして一人なんだ……。隣に、あの子がいたらどんなに……。
いや。考えるな。暑苦しいだけだ、きっと。
そんなことを考えているうちに、星はどんどん降る。まるで雨。
「未来が見ない未来がみらいみたいがみらい……いいんじゃない? よし! 寝よう!」
こうして、僕――斎藤レオは眠りについた。
八月十二日の二十二時十五分のことだった。
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