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高三のときに選ばれた委員長は、とても無口な人だった。
同時にとても影の薄い人でもあった。
そんな委員長でも、一日に声を発する機会は沢山ある。
「起立」
「礼」
「着席」
授業の始めと終わりの号令。
この三つが委員長の声を聞ける唯一の時。
でも、学生ならこれは極々自然な、日常の一部。
大抵の人は委員長の言葉を聞くより先に行動するから、この瞬間を気にも止めない。
聞いていたとしても、日々変わることのない言葉は耳から抜け出ていく。
だから、誰も委員長の声など覚えていない。
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