7人が本棚に入れています
本棚に追加
突然だけど、昔話をしよう。
今からずっとずっと前。
私が、ある人たちに会ったあの日のことを。
苦しくて、苦しくて、毎日が辛かったあの日から救いだしてくれたことを。
…今なら、話せるかもしれない。
―――――……
…ゴポポポポ……―――
私は、いつからここにいるんだろう。
目の前は、白くも暗くもない。
不思議な色をしている。
瞼を閉じているはずなのに、
薄い緑色が目の前を支配している。
ずっとずっと薄い緑色の液体に浸けられながら
眠っているはずなのに、
ちっとも息苦しくない。
…いや、確かに身体的には息苦しくはない。
精神的に息苦しい。
体を動かそうとしても動かない。
声を出そうと口を動かそうとしても動かない。
状況を確認したいのに瞼は開かない。
極稀に、人の声はするし、聴こえる。
最初は幻聴かと思った。
だって、薄い緑色の液体からずっと声が聴こえるんだもの。
私を精神-こころ-から壊そうとしてくるんだもの。
その人の声も、そのコエと同じかと思ってた。
けど、違った。
「ヒヒッ……私の可愛い可愛いモルモットよ。
今日は、お前に新たなモノを能えよう。…ヒヒッヒヒヒッ……」
何となく、左横に人の気配がしたから。
そして、ピピピ……と、何かのボタンを押す音もした。
程無くして、目の前が一瞬だけ。
本当に一瞬だけ。……紅く染まった。
その色に恐怖を覚えて、
自分自身を抱き締めようとしたけど、
それでさえも…体は動いてくれなかった…。
それから、どれくらい、たったんだろう…?
横にあった気配は消え、
緩やかな微睡みが私を誘-イザナ-っていった。
―――……
最初のコメントを投稿しよう!