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それは、この国にとって非常に喜ばしい事だったし、他の種族にとっても喜ばしい事だった。
人間側だけが、対応が遅れていたから。
他の種族は、魔獣への専用の部隊を作り、被害を出さないように直ぐに殲滅する事を行えていた。
だが、人間側には決定的な戦力が足りておらず、常に追い払う以外の選択肢が無く、結局は他種族への丸投げとなっており、不満の元となっていた。
だが、此処に来て立場が変化しつつあった。
明らかに、人間側の戦力が充実し始めていた。
過去の強者も、今の強者になりつつある者達も、皆が一丸となり始めたのだ。
過去には英雄とまで言われたガイザードの力と名声で纏まって居た人間だったが、それは過去の栄光であり、それを何時迄も追い求めるのは間違いで有る事に漸く向き合えるようになったのだ。
人は、過去だけを見つめるのではなく、今を見つめなければならない。
今、象徴となり始めているのは・・・・そう・・・・・フリーダムと呼ばれる魔法使い。
王族達もまでが、彼に敬意を払うという噂が流れ、益々人気は高まって居た。
しかも、フリーダム基金などというものが存在し、それは魔物や魔獣によって、襲われたり村や住居を追い立てられたりした者を守り、援助し、親や家族を失った者達の力になって居た。
フリーダムとなった魔法使いの僕の収入は、殆どが基金に当てられた。
僕は本来ならまだ、学生の身分で、収入なんてありえないから。
少しは残して貯金はしてる。
村へと持って帰る為に。時に必要なものを購入する為に。
たまには、僕だって買い食いしたり、新しい服や靴を買うくらいは自由が有っても良いよね?
友達に付き合うことも有るし。全くお金を持っていないと言うのも、逆に変だしね。
僕はそんな生活を送っていたある日。
何時ものように、魔法の実技授業を受けてる時だった。
全員が自由に展開して、各々の場所で魔法の訓練を行っていた。
僕が何時ものように、 魔力のコントロールの方法をバーン達に教えていた時だった。
突然、横から声が掛かって来た。
「貴方ですか?先日の依頼で、使い魔を手に入れたのは?」
見れば、そこには金髪に緑の瞳の生徒が居た。
その生徒の後ろには数人の別の生徒も居た。
皆、上等の衣服を纏っていて、明らかに平民では無かった。
僕は首を傾げてその生徒達を見た。
「僕に・・・御用ですか?」
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