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 中学に入って、わたしはいじめにあった。  そして、二年の中頃から不登校になった。  親のすすめで転校したわたしは、三年生としての一年間をこの学校で過ごすこととなった。  でもわたしの心はまだ、あの頃のいじめに怯えたままだ。  どうか、この学校ではいじめられませんように……  まだ体に馴染まない椅子に座って、ひっそりと願った。  授業が始まると、みんなの関心がわたしから教科書へと移って少し安心する。  となりの席に目をやると、学生服の男の子が背中を丸めて座っていた。 (たしか先生が、木南くんって言ってたな)  そのとき、彼が上履きを履いていないことに気づく。  木南くんは、靴下のまま椅子に座っていた。  心臓が、ドクンと音を立てる。  もしかして……  わたしは、それ以外の「証拠」を探した。  足元に置かれた、ハサミで切られてボロボロになった鞄。  マジックペンでいたずら書きがされた机や教科書。  その瞬間、わたしは確信した。 (木南くんは、いじめられている……)
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