25人が本棚に入れています
本棚に追加
それから休み時間のたびに、興味津々な目をしたクラスメイトがわたしに声をかけてきた。
「どうして転校したの?」
「友達と離れるの、寂しくなかった?」
そんな答えられない質問に、わたしは曖昧に頷くだけだった。
昼休みになって、誰かと話すのが苦痛だったわたしは一人で教室を出た。
校庭でサッカーをする男子たち、教室で恋愛話に花を咲かせる女子たち……
そんな彼らを横目に見ながら廊下を歩いていると、図書室を見つけた。
ここなら、一人でも時間をつぶせそうだ……
そう思ったわたしは扉を開けた。
図書室の中には数人の生徒がいて、本棚の前に立って本を選んだり席に座って読書をしている。
わたしも本棚から題名も見ないまま適当に一冊を取って、大きな机に並べられた椅子へと向かった。
そのとき、見覚えのある後ろ姿が目に入った。
背中を丸めて座る、学生服の男の子……
そこに座っているのは、木南くんだった。
最初のコメントを投稿しよう!