王道、王道、そして日常

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寮から校舎まではかなりの距離がある。正直間に合いそうにないし、もう歩いちゃおうかなぁとか思っていると。 「ん...?こんな時間に人が?」 僕と同じ遅刻組かと思いきや、その人物は木々の間を校舎とは反対の方へ歩いている。 ちょっと好奇心をそそられそっちに注目したせいか足がもつれて顔面から地面に突っ込んだ。 「へぶっ!」 痛い。 普段ケガとは無縁の生活を送っている僕にとって涙が出るレベルの痛みが鼻を中心にじわじわと広がってくる。 こらえようとしても自然と目から溢れる涙をぐずぐずと拭っていると、急に周囲が暗くなったような気がした。おかしいな、お天道様の真下にいたはずなのに。 「おい、大丈夫かい」 「ぐす.........誰?」 ぐしゃぐしゃな顔で見上げても視界がぼやけてその人の顔は良く見えない。 するとその人は僕の顔にタオルを押し付け、目とか鼻とかを拭いてくれた。タオルが退けられると漸く彼の顔がはっきりと見える。 さっき歩いていた人だ。 「......あの、ありがとうございます」 「ケガはない?」 「はっはい!大丈夫です!」 「.........大丈夫じゃないでしょ。こんな綺麗な肌に傷が付いてる。手当てしてあげるから付いてきなよ」 彼の手が僕の頬を優しく撫でる。とても整った顔が間近に迫ってきて少し緊張してしまった。 「え、でも授業が」 「心配要らないよ、俺が君の先生に言っておいてあげる」 「そんな、大丈夫です、これ以上迷惑をかけるような事は......っつ!」 立ち上がろうとした時、足首に痛みが走った。どうやら挫いてしまっているみたい。 「足を捻ったのかい?」 「じ、自分で歩けます......」 「バカ言わないで。ほら、おぶってあげる」 「え、えぇっ!?」 「歩けないんじゃどうせ教室にも辿り着けないでしょ、そもそも捻挫したんじゃ授業どころじゃないし」 「.......じゃあ、お言葉に甘えて」
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