遠い異世界の片隅で

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薄暗い洞窟の中、 一陣の風が、タケルとリアを急き立てるように吹き抜けた。 目の前に地下都市への入り口があるのに、結界に阻まれていて一歩も進めない。 結界を破るためには魔術師のリアの力に頼るしかなく、 それには『異世界の形代』が必要だった。 タケルは、この世界に迷い込んでからずっと肌身離さず、剣と一緒にベルトに付けておいた携帯電話を手に取り、ギュッと握りしめた。 最新型でコンパクトさが売りだった銀色のボディには無数のすり傷や引っ掻き傷が走り、指先にざらざらとした感触を伝える。 ここまでの自分の道程が刻み込まれてるその傷の一つ一つを、そっと指先でなぞっていく。
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