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オレ「お前決まった?進学すんの?」
オレは問いかけながら用紙を覗きこんだ。
用紙は白紙だった。
オレ「お前も決まってないのか。オレは馬鹿だから就職かな。親は進学しろって言ってるんだけど。」
幼なじみとの会話はいつもこんな感じでオレが独り言のようにしゃべり彼はうなずくとか笑うとかしかしない。
しかし今日の彼は違った。
オレ「えっ!?ごめん聞こえなかった。」
彼はぼそぼそ何かしゃべっていた。
彼「………………なりたい。」
オレ「えっ!?ごめんもう一回。」
オレは集中して彼の小さな声を聞いた。
彼「オレは黒魔導師になりたい。」
聞こえたオレは笑いをこらえ数秒おいて突っ込んだ。
オレ「中二病かーい!流石にお前でも無理でしょ。(笑)」
彼「いやなれる。」
オレ「無理だって。魔法なんか使えんの?」
彼「無口。」
オレ「それは誰でもできる。(笑)」
彼「顔を格好よくする。」
オレ「それはお前だけ。ちょっと腹立つな。できればオレの顔も格好よくしてくれ。」
彼「それは無理。」
オレ「ちょっ、おまっ。まあいいや。他の魔法は?」
彼「隣の席の人を黙らせる。」
オレ「お前!隣の席ってオレか、オレのこと言ってんのか?」
彼「言葉がなくても友達が作れる。」
オレ「それはお前だけにしか使えない魔法だな。」
その後も少しの間このやり取りが続いた。
オレは彼とこんなに話したのは初めてで、話すことで彼ともっと仲良くなれた気がした。
この会話は以外と大きい声で話していたので、クラス全体に聞こえていて彼の違う一面が見れさらに人気者になるのであった。
オレには彼に伝えたかったことがあった。
黙っているよりも思っていることを言葉で相手に伝えることが大事なのだと。
これ以上人気者になってもオレが困る。
これはもう心にしまっておこう。
無口な友人にだけ使える言葉の魔法として。
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