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「コガくん、おはよう!」
彼はちらりとこちらに視線を寄越し、
僅かに首を縦に動かしうなずいた。
スタスタと歩いていく彼の背中を見送っていると
ポンと肩に手を置かれた。
振り返ると親友のすみちゃんがいた。
スラリと長く伸びた手足を見ると別の生き物に見える。
173cmある彼女はそこら辺の男よりずっとカッコいい。
「ユリ。またコガに話しかけてたの?」
「すみちゃんおはよ!あのね!コガくんうなずいてた!」
「うなずいてたって・・・それ、嫌がられてんじゃねーの?」
眉を潜め、怪訝な表情を浮かべるすみちゃん。
男子のように短い彼女の髪はきれいな金髪で
うちの向かいの家のゴールデンレトリバーと同じ色をしている。
太陽の光を受けキラリと輝く。イケメンだ。
「そ、そんな事ないよ!コガ君、笑ってた気がするし」
実際、まったく微笑んでいない。
でも嫌な顔をしてたわけでもない。
彼は表情に変化がないから実際のところ本心は分からない。
「好きなわけでもないでしょ?も~諦めなよ」
呆れた顔ですみちゃんは私を見ている。
確かに私はコガ君に恋をしているわけではない。
同じクラスになった事もなく、彼から話しかけれた事もない
それでも彼の秘密を知ったあの日から毎日、
彼を見つけるたび話しかけている。
だって
「だって、コガくんの声、聞きたいんだもん」
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