1 それでも声が聞きたいんだ

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「コガくん、おはよう!」 彼はちらりとこちらに視線を寄越し、 僅かに首を縦に動かしうなずいた。 スタスタと歩いていく彼の背中を見送っていると ポンと肩に手を置かれた。 振り返ると親友のすみちゃんがいた。 スラリと長く伸びた手足を見ると別の生き物に見える。 173cmある彼女はそこら辺の男よりずっとカッコいい。 「ユリ。またコガに話しかけてたの?」 「すみちゃんおはよ!あのね!コガくんうなずいてた!」 「うなずいてたって・・・それ、嫌がられてんじゃねーの?」 眉を潜め、怪訝な表情を浮かべるすみちゃん。 男子のように短い彼女の髪はきれいな金髪で うちの向かいの家のゴールデンレトリバーと同じ色をしている。 太陽の光を受けキラリと輝く。イケメンだ。 「そ、そんな事ないよ!コガ君、笑ってた気がするし」 実際、まったく微笑んでいない。 でも嫌な顔をしてたわけでもない。 彼は表情に変化がないから実際のところ本心は分からない。 「好きなわけでもないでしょ?も~諦めなよ」 呆れた顔ですみちゃんは私を見ている。 確かに私はコガ君に恋をしているわけではない。 同じクラスになった事もなく、彼から話しかけれた事もない それでも彼の秘密を知ったあの日から毎日、 彼を見つけるたび話しかけている。 だって 「だって、コガくんの声、聞きたいんだもん」
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