5人が本棚に入れています
本棚に追加
「中学の頃から誰も聞いた事ないんだって。
彼の声」
私が彼の噂を聞いたのは
高校に入学して少し経った春と夏の間の季節。
まだ日差しが私たちに殺意を向けてこない頃。
「コガくんて、誰?」
体育の授業が始まる前。
女子は大抵、ウワサ話をする。
女子とはそういう生き物だ。
おしゃべりが大好きな、習性だ。
「C組の背が高くて、落ち着いてる大人っぽい人なの!
いつも男友達が群がってて、女子にも密かに人気があるのよね。
王子様って言うより、魔法使いタイプっていうか!!」
「・・・そ、そうなんだ。みーこ、よく知ってるね」
みーこはなんでも知っている鼻が高くて美人さん。
情報通な子ってクラスに1人は絶対いる気がする。
「それくらいジョーシキ!
古賀くん、なかなかのイケメンだよ!?
知らない方がおかしいって!
ゆりは男の事、見てなさすぎ!!」
その後もみーこは声を大にして熱論している。
「すみちゃんは知ってた?」
「いや、ゼンゼン」
最近みーこは髪を「オレンジベージュ」色にした。
最近流行ってる色らしい。
私から見ると茶色だ。オレンジでもベージュでもない。
アライグマに近い茶色だ。
明るいみーこにぴったりの色で可愛い。
私も髪染めようかなぁ
最初のコメントを投稿しよう!