君のそばに、いるだけで。

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実家暮らしの私と彼は、仕事帰りにデートしたり、休日に待ち合わせをして出かけたりするのが、定番。 じゃあ、口の無い彼とどうやって約束をするのか。 毎回メールだ。 そもそも私達の付き合ったきっかけが、とても穏やかで、しかし有無を言えないものだった。 今時、お見合いは……ないでしょ。 まぁ。確かに私は見目麗しいなんてもんでは到底ないし、男性から愛されるような女の子らしいキャラでもない。 二十五を過ぎても、髪を染めたこともなければ、化粧をしたこともない。 ……二年遅く産まれた妹の方にきっと、私が貰い受けるはずだった"女子力"が流れていったに違いない。 それはいいとして。 とにかく両親が勝手且つ、強引に決めたお見合いの席で、私の向かい側に大人しく座っていたのが、彼だった。 彼の両親も、彼のそのコミュニケーション能力の無さを心配して、このままでは一生独り者として無言で部屋の片隅に潜むような生活を送るのではないかと、かなり不安になったそうだ。 そして、セッティングされたお見合い。
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