11人が本棚に入れています
本棚に追加
両手でメガネを下にずらして机を視たら、小さな手がそこにあって、四角い消しゴムを何とかして床に落そうと、必死になって転がしているではないか。
はーっとため息をついて小さな手の持ち主に、心の中からそっと話しかけてみた。
『ねぇ、君はそこで、何をしているのかな?』
俺の問いかけに、手を止めてじっと見つめてきた大きな瞳。
髪の毛を高いところでひとつに結び、フリルのたくさんついた可愛らしい洋服を身につけている、5歳くらいの女のコだ。
『アナタって、キレイなイケメンだよね』
唐突に女のコから語られた言葉に、顔を引きつらせるしかない。
『総受け設定だったら、どうなるかな。うふふ……』
言いながら手にしていた消しゴムに、出しっぱなしにしていたシャープペンシルを、ぶすっと突き刺してくれた。
(さっぱり、意味が分からない――)
最初のコメントを投稿しよう!