第1章:突然現れた少女の生霊

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 両手でメガネを下にずらして机を視たら、小さな手がそこにあって、四角い消しゴムを何とかして床に落そうと、必死になって転がしているではないか。  はーっとため息をついて小さな手の持ち主に、心の中からそっと話しかけてみた。 『ねぇ、君はそこで、何をしているのかな?』  俺の問いかけに、手を止めてじっと見つめてきた大きな瞳。  髪の毛を高いところでひとつに結び、フリルのたくさんついた可愛らしい洋服を身につけている、5歳くらいの女のコだ。 『アナタって、キレイなイケメンだよね』  唐突に女のコから語られた言葉に、顔を引きつらせるしかない。 『総受け設定だったら、どうなるかな。うふふ……』  言いながら手にしていた消しゴムに、出しっぱなしにしていたシャープペンシルを、ぶすっと突き刺してくれた。 (さっぱり、意味が分からない――)
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