第1章:突然現れた少女の生霊

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 学祭で視たのは、ほぼこの学校の生徒ばかりだったのに、一体どういうことだろうか? 『あ、起きちゃう。行かなきゃ』 『行かなきゃって、どこに行くんだ?』  ふわりと浮かんで、廊下に一直線に向かってしまう女のコに、名残惜しげに視線を飛ばしたら。 『私は、村本 美伊奈っていうんだ。またね!』  右手をぶんぶん振って勝手に挨拶し、瞬く間に消えてしまった。 「むらもと みいな? 聞いたことのない名前だな」  小さな声で呟いたのにも関わらず、前の席にいる学祭の出し物のことで、大騒ぎを起こした張本人である写真部の岡田が、ニヤニヤしながら振り返る。 「おいおい、何を口走ってんだ三神。美伊奈ちゃんが、どうかしたって?」
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