十九夜

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ええと。 「俺は、今回借金のことも、冥界に連れていっていただいたことも、八岐大蛇の封印のことも、道を繋げて皆さんを呼んでくださったことも、全部ありがたいと思って感謝しているんですが?」 「そんなことは、当然のことではないか。私は、おまえを生涯の伴侶と決めている。そのおまえの苦難に手を貸さずしてどうする。」 「ですが、女になっていきなり両親に彼女紛いの自己紹介をするのはですね、それらの感謝を帳消しにしてもさらにマイナス・・・」 「それとこれとは別であろう。前者は、当然のことをしたので、感謝なぞ求めておらん。私がしたかったから、それだけだ。先程のことと合わせて考えることなどい。先程は、純粋におまえへの愛情の発露がなせた情熱の行動である。」 ようするに。 俺を助けてくれたもろもろは、気にするな、と。 女性の姿で現れたこととは別だ、と。 そしたら、スタート地点がいきなりの彼女宣言からってことになるんだから、なおのことプラマイ果てしなくマイナスになるってことに、こいつはどうして気付かないんだろう・・・・・・なんか、八岐大蛇よりキッツい。
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