十九夜

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人間、キレてもどうにもならないことが存在する。 世界は常に理不尽で。 「オゼット・ミハイと申します。お見知りおきください。」 誰だ、オゼットって何者だ。 勝手に嘘の自己紹介をして、ついでに自分が金持ちだってことまで吹聴する阿呆吸血鬼。 おまえの資産なんぞどうでもいい。 外国にブドウ畑を持っていようが、シャトー(城)を所有していようが、美術品や宝石類を収集していようが、興味の欠片もない。 しかし、親父やお袋は俺とは違うらしく。 ミハイさんの自己紹介から滔々と続く自分の資産状況と、さらには来日して俺の店に来てからの勘違いと思い込みのイエローカード続出の日々を間違った解釈のまま熱く語るものだから。 「そう・・・まさか、泉実にこんな出来た彼女がいたなんて・・・」 お袋!?違うからな!?
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