十九夜

61/84
前へ
/1296ページ
次へ
華原さんの手には、俺のカルテだと思われるもの。 たぶん、相当捏造されているんだが。 それと、胸ポケットの4色ボールペンを借りて。 カルテの一番後ろのまだ何も記入されていないページに、がしがしと書く。 それを、ミハイさんに突きつけた。 「レッドカード!!当分来店しないでください!!」 「な、な、なんだとぉぉぉぉぉぉ!!」 いつもなら、厚紙に赤マジックで書いてあるレッドカード。 なぜそんなものに過度に反応するのか、まったく理解の範囲外なんだが。 この様子だと、どんな紙にでもいいから、赤字で「レッドカード」と書けば効力を発揮することが判明。 ショックを受けてわなわな震えるミハイさんが、まったく理解できない。 が、書かずにはいられなかった俺の気持ちも分かれ。 「・・・どうしてこんなものにやられるのかしら、うちのバカは。」 こんな次期族長の姿に、華原さんは目頭を押さえている。
/1296ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46563人が本棚に入れています
本棚に追加