十九夜

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「ひ、ひどいではないか、泉実・・・っ。おまえが、女性を伴侶にしたいと願い、男では両親に紹介しづらいと気遣って、女の姿になってきたというのに・・・」 ひどいのは、ミハイさんの方だと思う。 まず、両親に紹介する気なんぞなかった。 それと、確かに将来は女性と結婚したい希望を持っているが、人間だ、人間! どんなに女性の姿になろうとも、元々は男である吸血鬼を、どうして両親公認にならなくちゃいけないんだ! 「あのですね・・・確かに、今回もたくさん助けていただきましたし、それについては心から感謝しています。」 「それとこれとは別ではないか。それに感謝などと。なにゆえだ。」 うん? 待て。 ちょっと待て。 俺とミハイさんの間の思考には、どうにも理解しがたい深い溝があるぞ?
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