六夜

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『面倒くさかったら、またレッドカードでもちらつかせときゃええんじゃ。』 いや、それはいくらなんでもあんまり。 普通の厚紙に、赤いマジックで「レッドカード」とだけ書かれた、何の効力もないカード。 それを見ただけで、何故か常連さんは竦み上がり怯える。 確かに、俺はこれまでも「レッドカード、しばらく入店禁止」とか言ってきたが。 カード自体に何の力もないぞ? 俺は、まあ必要に応じて、と乾いた笑いをお地蔵さんに返しておいた。 ああ・・・・・・今夜は胃が痛くならないといいなあ。 買い出しを終えて、店に戻り、きっと入っていると思って冷蔵庫の冷子さんを開けると案の定。 「ウカさん・・・」 油揚げがどーんと置いてあった。 自分が来るぞという合図と、それを料理しろってことなんだろうけれど。 ウカさんといい、タカさんといい、日本の神様の力はこんなところに発揮しちゃいけないと思う。
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