六夜

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「そんな強くて偉い神様、俺では力不足です!」 「力は封じておる!てか、今更断るな、泉実!頼む!」 俺とタカさんが押し問答していると。 「なんちゅう無茶ぶりしよるんじゃあ、高御産巣日の分際でぇぇぇ!!」 ごとん!と店の床が割れそうな音を立てて、お地蔵さんが飛び込んできた。 何の前触れもない怒鳴り込みに、非常に驚いた俺の心臓が、あきらかに寿命を1年ほど縮めた気がする。 「あんの泣き虫洟垂れ小僧!昔っからやんちゃくれで、短慮で、でかいなりの割には甘ったれで!そんなもん連れてこんでええ!!うちのなわばりの品格が下がるわい!」 なわばりなわばり言うが、ここは借家でもなんでもない。 自宅も店も、完全に俺の持ち物だ。 「なんでここが地蔵のなわばりなんかは知らんが、泉実もこれがついとるならさらに安心だろう。一介の吸血鬼ごときなんぞより、なにしろ菩薩だからのー。」 「ごときとは何だ!無礼者め!」 俺からしたら、全員無礼だ。
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