双子の策略 ~翔~

2/19
1251人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
side翔 「お前さ、ホントいい加減にしてくれ……」 額を抑えながら溜息をつき、体育館裏から出てきた自分そっくりな顔をした兄を見て頬笑んだ。 「ええ~?だって面倒くさいじゃーん」 告白なんて。 どうせ、あの子もほら、僕と涼くんの区別つかなかったみたいだし。告白するなら同じ顔してりゃ誰でもよかったんだろうねぇ。 「あーあ、ほんっと面倒くさ~い。そんなことより早く家帰ってヒロ兄に会いたい」 涼くんありがとね、なんて言いながら、2人で歩いて帰っていく。 僕たち二人は一卵性の双子で、身なりもそっくりなわけだから、わかりやすいように髪の分け目だけ左右ちがっている。 ちなみに僕は左目に、前髪がかかっている方ね。 まあ、身なりだけで違っているのはそこだけだから、上辺だけを好きになった人なんて、所詮そんなものなんだよね。 あ、涼くんが女の子に呼び出されたときは、逆に僕が女の子の所に行っているんだ。仮に、見破られたところで、僕たちは、そんなものに興味ないしね。 産まれたときからずっと、僕は一人の人が大好きだから。 たぶんそれは、涼くんもいっしょ。 隣を歩く自分とそっくりな顔をちらりと見つめる。 「そういえばさ、昨日、ヒロ兄の鎖骨の所に痕、あったんだけどぉ~。涼くんじゃないよね?」
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!