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炊飯器のセットをして、お弁当の具材と朝食の支度がある程度できたところで、チラリと時計を見ると、時計の短針は7を指していた。
毎朝の恒例ともいえるおはようタイムの時間である。
「そろそろ起こしにいくか。……ったくあいつらも良い年してるんだから一人ぐらい起きてきてよ」
はぁとため息をついて、二階にあがり、【俺の部屋】と書かれたプレートをドアノブにぶら下げたバカの部屋へノックもせずに入る
「──陽兄、ほら起きて、朝だよ」
「んんー、……もうそんなに…、ダメだって、………真紘」
「はいはい。朝から気持ち悪い声出すな。起きろバカ」
そういって布団を引き剥がすと、思い切り腕を引かれスッポリと兄の腕の中に閉じ込められた
……、こんの、野郎。
必死に抜け出そうとするが、バカ兄のクソみたいな馬鹿力に叶うわけもなく、
諦めて肩の力を抜くと、
「───んんっ!?」
「…言っただろ?俺はキスじゃなきゃ起きねぇって」
どこぞのお姫様かよ、!なんて突っ込みは唇を塞がれ、舌をねじりこまれたせいでかき消された。
「……ッ、ハ…ん、」
─チュッ、チュッ、レロ
「…ばか、舌は、…ッん、…めろ、…ッ」
無遠慮に口の中を蹂躙するバカの舌を口から追い出そうと抵抗するが、舌を甘噛みされ、ジュッ、ジュッ、と音を立てて吸われる
「……やら…ぁ、苦し…っん、」
──チュルっ、チュッ
獣のような兄の舌使いに、だらしなくどちらのものか分からない涎が口の端から漏れる
それを目の前の兄はペロリと舐めあげ、仕上げとばかりに三度啄むような口づけをしてきた
「……、おはよう。真紘」
「……クソが。…おはよう。」
悪態をつきながら、兄の腕の中から這い出る。
息が上がって、はっはっと呼吸が乱れている俺と、全く乱れていない兄。
この人は………!!
ギッっとにらむが、彼は首をかしげて微笑みかける。
寝起きだからか、声が少し掠れて色気が増した兄の顔。
………その甘ったるい顔どうにかしてほしい。
優しく見つめる眼差しに気まずくなって、
「………ごはん、出来てるから。早く下りてきなよ」
と、俺はため息混じりに口を開いた。
一人の兄弟を起こすのに10分もかかるなんて、
というか、なんで目覚ましをつけないんだ。
やっぱりバカだなぁ。
まあ、そこがあの兄の可愛い所でもあるんだけどね。
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