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でも、流石に舌は入れてくんなよ……。
あまりにも生々しい挨拶を思い出して火照る頬をむぎゅっとつかんだ。
次に起こすのは、あのバカよりも骨が折れる、三男である健(けん)。
【ヒロlove】とかかれた、うざったくも愛らしいプレートがぶら下げてあるドアノブをひねり、部屋へと入った。
入ってすぐに、顔をしかめる。
なんだ、この甘い匂い。
チャラチャラする分には、男だから仕方ないと目を瞑っているが、部屋がこうも香水くさいと、なると。
「……起こしにこないからな」
ボソリと呟くとベッドの中の、みの虫が大きく跳ねた。
狸寝入りもばれないようにしろよ。
クスリと笑みを漏らし、みの虫が寝ているベッドへと近づく。
「……おはよ、健」
口元に笑みを浮かべながら、チュッと音を立ててちゅうをすると、すぐに
「えへへ、おはようヒロ。」
嬉しそうに顔をほころばせる弟。
だがその顔が一瞬にして険しいものとなることを俺は知っていた
「また陽兄から起こしにいったでしょ。しかも、なに?あの起こし方。いつまでも子供扱いすんなって。あんなんで満足できねーよ。………なぁ、ヒーロ?」
耳元で甘く囁いてくる弟に、はぁ、とため息をついた、
「……舌、入れろよ。…できるだろ?」
あー、これはまずい。ダメなパターンだ。
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