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「……ヒロにいが望むなら、僕は、皆に自慢できるような弟に、涼くんみたいにだってなれるよ」
「……っ!」
そう言うと、僕を映した綺麗な琥珀色の瞳が悲しそうに揺れているから、それを見て、僕はまたヒロにいを傷つけてしまったことに気付いた。
「そんなこと言わないで!お前はお前だろっ!誰の代わりにだってなれないんだから。俺は確かに甘やかしすぎたのかもしれないけど、一度だってそれが間違ってるなんて思ってないよ。」
ヒロにいはいつだって真っ直ぐだ。
あーあ、
僕が、ヒロにいを励ますつもりだったのに、逆に励まされた。
ヒロにいの、その言葉に自然と涙が出そうになった。
そんな自分に驚く。
そうか、僕、認められたかったんだーー。
真紘は、少し俯いた翔に笑みをこぼして、流したままの水を止めた。
タオルで手を拭き隣に立つ翔と向かい合うように身体を向ける。
「おいで」
そう言って両手を広げた真紘に誘われるように翔は真紘を抱き締める。
「大丈夫だよ。」
温かい体温が心にまで伝わってくる。
その一言に、ひどく安心した。
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