双子の策略 ~翔~

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「……なあ、紘、あいつどうしたんだ?」 夕食の支度をしている真紘に抱きつこうとして、「危ないからやめて、って何度言ったらわかるの?」とゲンコツ食らった健が、痛む頭を抑えながら不思議そうに首を傾げた。 翔を心配する健に、微笑ましくなり思わず口元が綻ぶ。 「かわいいよね」 真紘はそれだけいうと、太陽の帰宅を上機嫌に待った。 しかし、そこである不安がよぎる。 太陽は、日向家の長兄は、 バカ なのだ。 …さらに言うと変に悪ノリするところもある。 さすがに翔だとは気付くはずだが、奴はそれを翔に伝えることができるのだろうかと、日向家次男は考える。 双子にしかわからない悩みがあって、それを今自分の力で乗り越えようとしている大事な時だ。兄として見守りたい。見守りたいのだが………。 一抹の不安が過ぎるが、真紘は長男である太陽を信じることにした。 「長男だからね」 そう言って、真紘は、こういう日には、赤飯を炊いた方が良いのだろうかと徐に携帯を取り出し調べ始めた。 【小学生/反抗期/双子/初めての/かわいい】
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