再会は予告なく

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「未だに吹っ切れてないなんて。馬鹿馬鹿しい」 「は? 何の話だよ」 「いーえ、別に」 白々しい返事に、彼の表情を伺う気も失せて、私はさっさと歩きだした。 だけどこの男が当然、後を追いかけてくることもわかっているけれど。 不機嫌そうな顔で、なんだかんだ美里の頼みごとは断れない人なのだ。 未だに、そうだとは驚きだけど。 駅までの道のりを無言で歩く。 コツコツと、やはりもう一つ足音がついて来ている。 歩いているうちに僅かに残っていた明るさはすっかりなくなって、街灯や店舗の明かりが目立ち始めた。 「なあ」 駅まで、あと少しと言うところで背後から声が聞こえた。
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