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「……よし」
エレベーターホールは誰もいなくて、シンと静まり返っていた。
さすがに追いかけては来なかったらしい。
それはそれで腹立たしいが……っていうか彼に関わる事象はすべて腹立たしくなるように私の思考回路が出来上がってしまっている。
あの人に送ってもらうなんて冗談じゃない。
余計なたくらみをしてくれた美里には後で電話で苦情を申し立てることにしよう。
エントランスを抜けて、マンションを出てすぐだった。
「きゃあっ!」
外壁に隠れていたから、まったくわからなかった。
ガラス戸を出てすぐに目の端にスーツの長身が映り、思わず目を向けると憮然とした表情であの男が立っていた。
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