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『ああ! そういえば。随分前の、バレンタインの時、そんなことあった』
美里が不意に声を上げた。
そのことで、私も急に思い出したことがあった。
『ほら、7階の催し会場でバレンタインセール、販売員が交代で向かうでしょ。その時イタリアンフェアも隣の会場でやってて、朝のくそ忙しい時間にワインをバックヤードの通路にぶちまけた営業が』
「ああ! 開店前でレジ開けもまだなのに床拭き手伝って……」
そうだ、それでパンストが汚れたって言ってたから、私のロッカーにストックしてあったのを美里に貸したんだ。
『ああ、って。なに? その時の話のことじゃないの?』
「えっと……そうなんだけど。その時のどんくさい営業って顔覚えてる?」
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