あの夜のこと 1

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「私は最初からこのつもりだったわよ。こっちはこっちで、藤井さんに奢ってもらって帰るから」 ……その本人が、すっかり酔いつぶれて熟睡してしまっているのだけど。 それは言わずに置いた。 だってこの状況をどう説明すればいいのだ。 まさか、彼の家で、ベッドに眠る彼の横から動けずにいるなんて。 どう説明しても、誤解か疑惑しか生まない気がする。 「あ、そうだ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」 『なに?』 「えー……っと。『ワインをぶちまけた馬鹿』と『イベント』で何か思い出すことってある?」 『なんのナゾナゾ?』 決してナゾナゾではないのだけど。 手がかりが少なすぎて、他に聞きようがない。
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