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「私は最初からこのつもりだったわよ。こっちはこっちで、藤井さんに奢ってもらって帰るから」
……その本人が、すっかり酔いつぶれて熟睡してしまっているのだけど。
それは言わずに置いた。
だってこの状況をどう説明すればいいのだ。
まさか、彼の家で、ベッドに眠る彼の横から動けずにいるなんて。
どう説明しても、誤解か疑惑しか生まない気がする。
「あ、そうだ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
『なに?』
「えー……っと。『ワインをぶちまけた馬鹿』と『イベント』で何か思い出すことってある?」
『なんのナゾナゾ?』
決してナゾナゾではないのだけど。
手がかりが少なすぎて、他に聞きようがない。
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