逃げる魚、追う釣り人

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老舗メーカーと競うつもりならば、こういった部分を強みにしていくしかないとは、思うのだけど。 「でしたら、ギフトの商品展開増やします?」 一応、聞いてみる。 座ったまま見上げると、店長は画面から目を離して、視線を天井に向けながら思案顔で顎を撫でていた。 「いいや。ラスク系統の袋物増やして、あとはイベント商品のスペース作ろう」 「あ、ハロウィンですよね。ディスプレイ届いてるんですか?」 「結構前にね。豊田さん、悪いけど今日閉店してから手伝ってくれない?」 「……私、今日は中番なんですけど」 「だけど杉浦さん、デートだっていうからさー」 杉浦さん……遅番の日にデートなんて。 いや、無いとは言い切れないけど。
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