逃げる魚、追う釣り人

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―――――― ――― 「美里。藤井さんも呼んだのを私に黙ってたのって、わざとでしょう」 『えーっ違うよ、私言わなかったっけ?』 ウソばっかり! すっとぼける美里に、私は返事をせずに無言で煙草に火を付ける。 そう言えば、以前からそうだ。 あの人に関わると、何かイライラして落ち着かなくていつも煙草の本数が増える。 食事を終えてもう藤井さんも帰っただろうと、22時を過ぎた頃に美里にラインを入れてみたら、すぐに携帯が鳴った。 私が怒っているかどうか、気になって仕方なかったに決まっている。 メンソールの煙を深く吸い込んでそのまま無言を貫くと、やがておずおずとした彼女の声がした。 『ご、ごめん』
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