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まだ少し、心臓が騒がしくて息苦しいのを、深呼吸で整えてからなんとか笑顔を取り繕った。
「いえ、なんか様子おかしいなと思ってたところにちょうど店長が来てくれて……あの人、元彼とかです？」
「違うわよ！」
「や、なんかワケありなのかなーって思っただけで！……その、こっちからは横顔しか見れなかったんですけど」
「何？」
「泣いてるように見えたので。それで店長も慌てて出てったんだと」
言われて、あの時藤井さんが驚いた表情をしたのを思い出す。
ひた、と頬に手で触れて、目元まで確かめた。
「泣いてないわよ」
「いや、涙を確認したわけじゃないですけどね。じゃ、私店頭に戻りますけど」
豊田さんは隠れてて、と言ってくれて、私は彼がいなくなるまでその言葉に甘えさせてもらった。
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