逃げる魚、追う釣り人

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「お疲れ様です。手伝います」 「ああ、悪いね。ちゃんと残業代つくからタイムカードつけといてな」 「それちゃんと杉浦さんにも言ってあげてます?」 まあ、カツサンドは中番で閉店まで時間があったからこそ特典だと思うけど。 残業代がつくのなら、杉浦さんも少しは考えてくれるんじゃないだろうか。 「うん、まあ……でも、用があるなら仕方ない」 甘いなぁ、と肩を竦めた。 他のスタッフはバイトだから致し方なくても、杉浦さんはちゃんと社員なのだから、頼める仕事は頼んだ方が良いのに。 「じゃ、さっさとやっちゃおう。豊田さん、そこの棚のスペース開けてくれる?」 「はい」 空き箱に一旦引込めるプロパー商品を詰めて、その空いた場所に店長がハロウィン用の商品を並べていく。
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