逃げる魚、追う釣り人

29/35
前へ
/35ページ
次へ
「そうですね。一度、飲みに行きましょうか」 「え、ほんとに?!」 「オープンして三ヶ月以上経ちますし、スタッフ同士の親睦も兼ねて。みんなの予定、聞いておきます」 「え、えー……」 それじゃ、と笑って会釈をし駅の方へ歩き出す。 「いや! 遅いから車で送るよ」 「電車の方が早いんです。お気遣いありがとうございます」 慌てた彼に呼び止められたけれど、顔だけ振り向いてそう答え早歩きで駅までの道を急いだ。 それにしても、誘い方もどこかどんくさい。 見た目も悪くないし、性格もよさそうなのに未だに独身なのはその為だろうか。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

888人が本棚に入れています
本棚に追加