逃げる魚、追う釣り人

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「なんでそんな小細工までして、私と藤井さんを会わせたいのよ」 『だから、前はそんなことなかったじゃない。掛け合い漫才みたいで面白かったよ? 二人のじゃれ合い』 「キライです!」 まったくもって、不愉快だ。 じゃれあいだなんて思われていたなんて。 いらいらとするから、ついつい煙草の先の灰を指で落とす仕草ばかりを繰り返す。 もう落ちる灰などついてないのだけど。 『でもさぁ……なんか、急に避け方が極端になったみたいだから。私も気になるし藤井さんも気にしてると思うよ』 「あの人がそれほど気にするわけないでしょ。避けてる理由を説明する義務もないし」 『あ、やっぱり避けてるんだよね。なんで?』 そう言われれば、ぐ、と言葉に詰まるしかない。 それにしても、上手く引っ掛けられているような気がするのはどうしてだろう。
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