681人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
泣きながら抱かれて、最後はもう涙の理由もわからなくなるくらいに溺れた夜が気が付いたら明けていた。
見渡すとめちゃくちゃに散らばった二人の服が、昨夜の情事が如何に理性の欠片もないものだったかを物語っている。
そうだ、彼が目を覚ます前に。
酷く酔っていたんだ、例え覚えていたって夢の中の出来事だと思うだろう。
痕跡さえ消してしまえば。
物音を立てないようにベッドを抜け出して、自分の服を拾い集めて身支度を整えると、彼の服はひとところにまとめて置いた。
彼が寝ぼけて自分で全部脱いだのだ。
そういうことにしよう。
彼の中にも私の中にも、理性はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!