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「デートじゃないけど、会うんですよね?」
にやついた顔で見られるのは、もう慣れた。
なんでもない顔をして、杉浦さんの背中を叩いて店の入り口を視線で示す。
「ほら、お客様! 接客お願い。今日は暇だし定時になったら上がるからね」
ちょうど女性客が入ってくるところで、杉浦さんは「いらっしゃいませ」と言いながら女性客の応対に向かってくれた。
仕事上がりの六時まで、あと十分。
洋菓子店はじっくりと商品を見て周る客が多い。
案の定杉浦さんの接客中に時間となり、目配せだけして裏の事務室に向かい帰り支度を急いだ。
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