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昨日一日中歩き回り、寝不足も重なって正直キツイ。
お弁当を広げながら、欠伸を噛み殺し切れなくて口元に手を当てた。
「……昨日のデート、どうだったんですか」
にや、と楽しそうな笑みを浮かべて杉浦さんがサンドイッチの包装を破いている。
私はその視線から逃れるようにお弁当に視線を落とし、卵焼きを箸でつまんだ。
「まあ……楽しかったわよ、うん」
「すごーく眠たいみたいですしねー」
「ちょっとやめてよ!」
やらしい顔で覗き込もうとする杉浦さんの視線から、耳の後ろを逃がすように身体をずらす。
これは早急に髪を伸ばさないといけない。
「……豊田さんって」
不意に名前を呼ばれて顔を上げた。
さっきまでふざけた調子だったのに、杉浦さんの声に翳りが滲み出ていた。
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