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高いプライドが邪魔してなにも言えない
傷付くのが怖い臆病者。
それが、私達の正体だ。
だけど。
似た者同士だから気付いてくれた。
だから、彼は知らないふりをしてくれたのだ。
あの夜の惨めな私を。
そして、私が彼の前では素直に泣けるように、それだけを考えていたのかもしれない。
私を傷付けないように
プライドを壊しながら。
「笑うな」
「だって……いたっ」
不機嫌そうに顔を歪めた彼に鼻をかじられ、笑った拍子にまた一つ、涙が落ちる。
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